町はいつもと変わらずに賑わっている。と思ったのは、束の間。少し離れた所から荒げる声、怯える声などが聞こえてくるので小走りで行くとそこには、浪士と10歳~12歳くらいの男の子が立っていた。「――!―」「――!」言っていることは聞きたくない言葉だった。すると浪士が刀を抜き、男の子に向かって振り下げようと・・・右肩に手を置き
「まぁ待って待って。」
相手を威嚇しないように落ち着いた声で言うが浪士は、苛立った声で
「関係ねぇだろうが引っ込んでろ!」
そう言いながら振り払い刀を再び振り下げようとするとカチンっと音が鳴る共に浪士が腕から血を流しながら座り込む。侍の顔は、先程と変わらず落ち着いた顔だが瞳には激しい怒りがあった。
「侍たる者むやみに人を斬ってはならぬ。」
その言葉に気に食わない言葉を吐き捨てて浪士が立ち去り、周りの人々もゆっくりと歩き出す。すると男の子は侍の袴を握り「怖かった」と呟き侍は頭を撫でて「家に帰れるか?」その言葉に頷く。家に向かって歩く後ろ姿を見送ると空が夕暮れになっていた。自分も歩き出すと
「カーァカーァ」(カラスの鳴き声)